覆面作家は二人いる (角川文庫)価格: 540円レビュー評価: 4.0 レビュー数:9 北村薫をずっと読み続けてきました。この覆面作家シリーズはある種の軽さと明るさが魅力となっています。
北村薫が何回も直木賞候補作家になっていることを持ち出すまでもなく、「スキップ」「ターン」「リセット」という「時と人」シリーズの持つ重さとは違う温もりが、本作では全編を覆っているので、安心して作品の中に入っていけると思います。
「覆面作家」という設定と2つの際立って対照的な性格の持ち主であるお姫様の言動と挙動の不思議なギャップが、最大の魅力でしょうか。まるで猫の目のように、万華鏡で映し出される光の世界のように、キラキラと輝きながら変身する千秋の変化ぶりがたま ...さらに詳しい情報はコチラ |
語り女たち (新潮文庫)価格: 540円レビュー評価: 3.5 レビュー数:3 語るのはシャハラザードではなく、17人の女性たち。
短編集なので、気の向くままに読めるのも良い。
こんな男性とのやりとり、ステキだなぁと思う「笑顔」、
読んだ後も余韻の残る不思議な「眠れる森」、
国語の教科書を思い出す美しい文章と
父親とのやりとりが印象的な「夏の日々」などなど。
心に残るものが多い。
いつでも、彼の文章、
そして登場人物には清純な印象を受ける。
年齢を感じさせない、かわいらしい魅力的な女性のお話を聞きたい方はお試しあれ。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
五つの時計―鮎川哲也短編傑作集〈1〉 (創元推理文庫)価格: 966円レビュー評価: 5.0 レビュー数:5 純粋な推理作品で、物語は、犯人を暴くという一点に向かって、緻密に突進する。
つまり、物語は単純であるが、トリックは非常に手が込んでいて、推理ファンは唸らされる。
物語が、推理内容以外の、脇道にそれたりはしない。
著者は、時間差トリック、鉄道トリック、密室殺人などを、得意とする。
各作品の冒頭に、江戸川乱歩氏の前口上が配されているが、この部分も大変面白い。
巻末に収められている、著名推理作家による対談も、興味深い。
収録されている作品は、ほとんどが、昭和三十年代前半に発表されたものだ。
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詩歌の待ち伏せ 2 (文春文庫)価格: 550円レビュー評価: 5.0 レビュー数:4 ◆十七、「蝶」「蛇」ルナール/岸田國士訳 「へび」ルナール/辻昶訳
詩情豊かにして、機知と稚気に富んだルナールの
『博物誌』が取り上げらています。
たとえば、
蝶
二つ折りの戀文が、花の番地を捜してゐる。
といった、ロマンチックなものがある一方、
蛇
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覆面作家の愛の歌 (角川文庫)価格: 540円レビュー評価: 3.5 レビュー数:5 ある女性が殺された。死亡推定時刻は夜中の12時。彼女は、殺される
直前に婚約者の中丸に電話をかけていた。中丸のそばには、彼女を殺した
のではないかと思われる南条もいた。南条はどのように彼女を殺害したのか?
覆面作家新妻千秋の推理が始まる・・・。表題作を含む3編を収録。
覆面作家シリーズ第2弾。
どの話も面白かったが、一番よかったのは表題作「覆面作家の愛の歌」だ。
アリバイ作りのトリックが巧妙で、感心させられた。ちょっと複雑すぎて、
理解するのに何度か読み直してしまったが(^^; 南条の、屈折し ...さらに詳しい情報はコチラ |
凶鳥の黒影 中井英夫へ捧げるオマージュ価格: 2,520円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 ぐっときてしまうわけですが。 恩田陸、笠井潔、菊池秀行、北村薫、長野まゆみ、三浦しをん、山田正紀(敬称略)の七人はエッセイ、他の方々が短編を書かれています。 この中に誰か一人でも好きな作家がいるなら、読んで損はないと思います。 中井作品がまさに〈永遠の呪縛〉たりえることがうかがえる本でした。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
七つの危険な真実 (新潮文庫)価格: 500円レビュー評価: 5.0 レビュー数:2 真実というのは、明らかにされた方がいいものと、誰かの幸せのために、隠されたままの方がいいものがある。真実がわかることによって救われることもあるし、絶対に明かしてはならない、それこそ墓場まで持っていかなくてはいけない場合がある。作品によって、真実が明かされるものとそうでないものがあるのだが、どの作品も読んだ後にほっとするのは、その結末がみんなにとってふさわしいものであるからだと思う。
なかでも乃南アサさんの『福の神』が一番ぐぐっときました。以前、別の短編集で読んだことのあった作品なのですが、改めて読んでみると、心にしみます。もしかしたら、自分が母親になったからかも ...さらに詳しい情報はコチラ |
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冬のオペラ (角川文庫)価格: 580円レビュー評価: 4.0 レビュー数:12 高校を卒業した私、こと姫宮あゆみが勤めだした不動産屋の2階に、自称名探偵、巫(かんなぎ)弓彦が引っ越してきた。名探偵として、難事件の依頼しか受け付けないことをポリシーとする巫に興味を持ったあゆみは、ワトソンよろしく事件の記録者を買って出た…。
一目(一度聞いただけ)で真実が見えてしまう名探偵「巫弓彦」とワトソン役「姫宮あゆみ」が活躍する連作中編集。3篇からなるが、最初の2編は巫の能力の一端を明らかにするような導入的作品で、「冬のオペラ」がメインディッシュ。
文字通りオペラ仕立てだが、中身はダイイング・メッセージと奇妙な犯行現場の謎解きを中心 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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