白い兎が逃げる (光文社文庫)価格: 680円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 4編の中編が収められています。
アリバイ崩しが2編、ダイイングメッセージが1編、動機探しが1編です。
いずれも有栖川作品おなじみの火村・有栖川コンビによるものです。
国名シリーズなど他の作品を読んでいても、
この作者は、長編ではちょっとダレるところがあって、
中編で才能を発揮するタイプと思っておりました。
まさに、正解!
短編よりも一ひねりきいた、それでいてモタツキ感のない作品で、
楽しく読めました。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
海のある奈良に死す (角川文庫)価格: 630円レビュー評価: 3.5 レビュー数:10 殺されたのは、著者の作家仲間で、探偵役は著者自身、キーワードは「海のある奈良」、という作品。
軽妙な文体で綴られていて、読みやすいが、トリックは割合手が込んでいて、面白い。
作品全体に、適度に関西的ツッコミがあって、うまく物語に引き込まれる。
物語の舞台は、主に近畿だ。
私は奈良県在住であるが、近畿に土地勘があるので、分かりやすかった。
しかし、ローカル色たっぷりなので、逆に、土地勘が無い方の方が、旅情を感じるのではないかと思った。
本作品の様に、著者自身が作品の主要登場人物になる事は、長短色 ...さらに詳しい情報はコチラ |
ペルシャ猫の謎 (講談社文庫)価格: 580円レビュー評価: 3.0 レビュー数:6 有栖川有栖はなぜか身近に感じる作家だ。
作品が身近だとか、ものの見方が身近だとかではなく、作家自身を身近に感じてしまう。
なぜだろうと考えるに、彼自身が人との距離が近い人なんではないかな。作品を読んで作家のそんな人物像を感じさせるのも珍しい。
『ペルシャ猫の謎』は国名シリーズの短編集で、読み終えた後いつまでも記憶に残ることのない、読み捨て本に近いものなのだが、このクソ暑い最中には体力使わなくていい。
特にタイトルになった『ペルシャ猫の謎』は、殴られて意識朦朧のときに猫を抱いた自分そっくりの男を見た。だから双子の弟が犯人だと思ってた ...さらに詳しい情報はコチラ |
|
壁抜け男の謎価格: 1,575円レビュー評価: 3.0 レビュー数:1 過去の名作文学の引用、オマージュ。小説であることを利用したトリックなどなど、読み手を飽きさせない仕掛けが満載。短編集ということもあり、舞台設定やテーマがコロコロ変わり、それが新鮮でスラスラと読み進める事のできる一冊。
その快読感を、ミステリーの推理の時間と設定を理解する時間が妨げてしまっているのが残念。私自身が日本文学に明るくなかったのも、もったいない部分だと思う。
しかし作者の文学への思いは詰まっている。是非、その思いを受け止められる人間に手にとって感想を書いて欲しいと思う。
この作者の他の作品を手にとって、じっくり読んでみたいと思った。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
スイス時計の謎 (講談社文庫)価格: 600円レビュー評価: 3.0 レビュー数:6 今回は4篇収録されていますが、どれもそつのない出来、というか、こじんまりまとまった感がありますね。派手なトリックはないけれど、きちんと理詰めで犯人を解き明かしていく過程はさすが本格、といった感じです。『シャイロックの密室』は、密室トリックは???と思いましたが、犯人が判明した理由がおもしろかった。表題作の『スイス時計の謎』がやはり一番おもしろいでしょうか。高校時代の同窓生の集まり「リユニオン」の仲間内で起きたと思われる殺人。優等生の集まりだった彼らの間に何があったのか。頭のいい犯人をぐうの音もでないほど筋の通った推理で追いつめていくラストがおもしろい。この推理にほころびはないのか?と何度も ...さらに詳しい情報はコチラ |
ダリの繭 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)価格: 693円レビュー評価: 4.0 レビュー数:7 火村教授(作家アリス)シリーズ第2弾。前作と比較するとキャラクターの輪郭が整ってきており、犯罪心理学者をいいことに警察内部に入り込む火村とワトソン役である有栖川のコンビの推理が楽しい。物語はサルバドール・ダリの人間的な背景を重要視している。つまり女性を巡る物語であり、プロローグとエピローグに帰結させる展開は、どこか神秘的な匂いさえ感じさせる。また作家有栖川有栖の隣人である女性(と鳴かないカナリア)が登場するあたり、作者のユーモアも効いており洒落ているね。事件そのものも奇想天外で、フロートカプセルに浸かりたくなること必至。トリックに挑む火村が格好良いんだな、また。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
スウェーデン館の謎 (講談社文庫)価格: 650円レビュー評価: 4.0 レビュー数:12 有栖川先生らしい論理的なトリックでした。
この本は推理小説としてよりもストーリーがよかったです。
推理小説として読むよりも小説として読んだほうが楽しいかもしれません。
火村の意味深発言にも注目。
裏磐梯の情景描写が素敵。行ってみたいなぁとしみじみと思わせてくれる描写でした。
...さらに詳しい情報はコチラ |
朱色の研究 (角川文庫)価格: 620円レビュー評価: 4.0 レビュー数:9 プロローグがとてもよかった。取材旅行の計画を立てている有栖川、二年前の事件の事で火村を訪ねる貴島朱美、そして夕暮れのお告げを聴いてしまう犯人!その背景には有栖川いわく「世界の終わりの様な夕陽」。真赤な夕日の中での物語のスタートが鮮明に想像できてワクワクしました。
初めて長編の火村シリーズを読んだので火村という人物を知るために他の話も読みたいと思います。表紙のデザインもカッコ良くて好きです。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
乱鴉の島価格: 1,785円レビュー評価: 3.0 レビュー数:17 新潮社はすぐにノベルズや文庫に落とさないから思い切って単行本を買ったのに、
2年余りで、しかも他社(講談社)からノベルズ出版とはちょっとショックでした。
肝心の作品ですが、読後一番に思ったのは、
「火村シリーズの長編でリリカルファンタジーはやめてくれ」
です。
火村とアリスも30男にしては大概なのに、
いい大人の登場人物たち(1人2人ならまだしも7人)が、
あまりにもロマンチック過ぎてあきれます。
登場人物たちの間にある「秘密」でひっぱってますが、
...さらに詳しい情報はコチラ |
|
マジックミラー (講談社文庫)価格: 620円レビュー評価: 3.5 レビュー数:8 あくまで私の管見の限りですが、新本格の流れにおいて、公共交通機関の時刻表を
利用したトリックが用いられたミステリというのは、ほぼ皆無なのではないでしょうか。
本作は、その数少ない作例であると同時に、著者らしい
抒情性や稚気も加味された秀作となっています。
事件は、二つ。
時刻表の間隙を縫うように鉄壁のアリバイを成立させた事件。
そして、その事件の容疑者と見なされていた双子の片割れが、
頭と手首を切断され、殺害された事件です。
...さらに詳しい情報はコチラ |