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艶紅(ひかりべに) (文春文庫)価格: 710円レビュー評価: 4.5 レビュー数:3 馬の装蹄師と、染色作家、男49歳女37歳、職人同士の中年の恋愛、藤田氏の得意とするパターンである。別居中の男と、独身の女、何の障害もないように見える二人に訪れる別れ。中年だからこそ起こりうる、悲劇が降りかかる。藤田氏は大人の恋愛を描くのが、本当にうまいと思う。 人生、白紙に戻ってやり直したいと思っても、それまでに蒔いてしまった種は知らないところで大きく、意外な方向に育ってしまう。大人になればなるほど、そのしがらみからは逃れられない。そんなことを強く感じさせる小説だった。 最後に見せる久乃の女としてのしたたかさに、同じ女性として複雑なものを感じた。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
虜 (新潮文庫)価格: 540円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 かつては「妻」としてだけだった女性が、「女」と変貌を遂げていた。犯罪に手を染め、かくまってもらっている別荘の納戸の穴からのぞき見た妻の姿に、夫は彼女を取り戻したいと思う。この、「のぞく」という行為が、より妻を官能的に見せてしまったように思う。男性作家ならではの発想である。 女性の私には、涼子という妻に、取り戻したく思うほどのの魅力が今ひとつ足りないように思えた。離婚届に判を押すことと引き換えに、夫をかくまう涼子の気持ちも、よくわからない。 藤田氏の作品は好きなので、これはちょっと甘めの採点です。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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セカンドライフ (角川文庫)価格: 780円レビュー評価: 3.5 レビュー数:3 年齢は主人公より少し若いが、主人公の置かれる立場が理解できてしまった。
ふと自分の将来を垣間見た気がして、少しだけ失望し、少しだけうらやましかった。
新しくできた友人や恋人を通して、自分自身のアイデンティティを失うのを恐れながら、反面
新しい自分を発見して戸惑っている様子が何となく理解できた。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
子宮の記憶 <ここにあなたがいる> (講談社文庫)価格: 980円レビュー評価: 3.5 レビュー数:3 17歳、大人とも子供ともつかないゆれる年頃の真人がかつて自分を誘拐した犯人に会いに行く。偽名を使い、彼女と生活を共にする中で、「この人がそのまま母になっていたら、」という思い。
家を出るときは、母や父に暴力をふるい、まるで不良少年だった真人が、自分を誘拐した愛子との生活の中では、とても素直な「よい子」になっていく。
私自身が同い年の息子を育てているので、真人の心の行き先に多大なる興味があり、ぐんぐん読みすすめたのだが、なぜかさいごまでしっくりこなかった。当たり前のように出てくる、酒、タバコ、セックス、これらの描写にいたたまれなかったからかもしれない。
今の ...さらに詳しい情報はコチラ |