|
巫子―自選少女ホラー集 (学研M文庫)価格: 599円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 少女にまつわる、9つのホラー短編集。少女といっても、多くの話は主人公の少女時代の過去の回想をもとに、現在大人になった少女達に襲いかかる、幻想的で不気味な結末の話だ。 特に、『夜の声』『流刑』の時間の流れの書き方が好きだ。また『山木蓮』の最後で、少女時代に戻っていくような時間の書き方も面白い。 それと、皆川博子は人間の内に秘めた暗い想いや怖ろしい考え、それぞれの登場人物の心理描写がうまいと思う。 表題作の『巫子』は、あとがきによると、同作者の『巫女の棲む家』の母体となっていると書いてある。確かに粗筋はかなり似ている。しかし、いろいろな登場人物の視点から描かれている『巫女の棲む家』 ...さらに詳しい情報はコチラ |
あの紫は―わらべ唄幻想価格: 1,529円レビュー評価: 4.0 レビュー数:2 1994年に実業之日本社から刊行されている短編集である。副題にもあるとおり、本短編集のコンセプトはわらべ唄。いつもいつも感心するのだが、よくこれだけの詩や唄や絵画を自家薬籠中の物とできるなぁと思うのである。いったいどれだけの引き出しがあるのだろう?と思ってしまう。いつものごとく、みな素晴らしい短編だ。ところどころ微妙にリンクしている作品もあったりして一筋縄ではいかないおもしろさもある。今回この短編集を読みながら、どうして皆川短編はこんなに胸に食い込んでくるのか考えていたのだが、彼女の描く短編世界は非常にクールなのだ。心がほんわかあったかくなるような世界とは対極のところに彼女の目指す世界はある ...さらに詳しい情報はコチラ |
|
悦楽園 (ふしぎ文学館)価格: 1,529円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 出版芸術社が出しているこのふしぎ文学館シリーズはどの本も怪奇、幻想、恐怖小説好きならたまらない本ばかりです。この皆川博子の「悦楽園」も単行本未収録の短編が入っていたりしてゴージャスな内容になっています。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
うろこの家 (角川ホラー文庫)価格: 509円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 皆川博子と岡田嘉夫の素晴らしいコラボレーション。 二人の巨匠の文と絵がウキウキとしながらこれでもかこれでもかと絡まりあってゆく様を見ているのは大変気持ちが良いです。出来も素晴らしくコッテリ濃厚ですが流石に上品。 作品精華 伝奇―時代小説編にも収録されていますが、文庫サイズでこの世界をコンパクトに持ち運び出来るのは非常に美味しいです。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
|
瀧夜叉 (文春文庫)価格: 600円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 これを文庫本一冊は勿体なさ過ぎる。歴史ものとしても面白い時代だし、登場人物も魅力あふれる人ばかり(阿部清明や蘆屋道摩も登場する豪華メンバー)なので上中下の3巻どころか、シリーズで10巻でも持つのではないだろうか。それだけに、足早に物語が進み、物足りなさがあったが、妖しさ漂う皆川ワールドが詰め込まれていて、どこを読んでも面白い。 夢枕獏の陰陽師シリーズは読んでないので蘆屋道摩がどう描かれているのか知らないが、この小説での彼は怖ろしく魅力的だ。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
|
|
|
戦国幻野―新・今川記 (講談社文庫)価格: 1,000円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 これは、歴史小説ではなく、伝奇小説である。
今川氏という、日本の戦国時代氏においてはややマイナーと思われる大名家の暗闘を描いている。
一言で言えば、それだけの話なのだが、物語の構成要素は、実に多様だ。
雪斎の出生の秘密。
玄広恵探と梅岳承芳の愛憎劇。
富士山の生き神となった、今川氏輝の双子の弟。
歴史を知りたいなら、永井路子の『姫の戦国』の方を勧めるが、物語を楽しみたいなら、この本の方をお勧めしたい。 ...さらに詳しい情報はコチラ |