危険な童話 (光文社文庫)価格: 720円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 作者は寡作ながら良質の本格ミステリを発表している良心的作家。本作は代表作として名高い。私の印象では、地域、人間性に根ざした土着性の強い作品が多い。
さて、本作である。殺人の容疑者と疑われた母親がいるが、その母親には殺人現場に残っていたある事が実行できない。警察はその母親を犯人だと確信するが、そのためには共犯者の存在が必要だ。その共犯者がどうしても見つからない...。
これ以上書くとネタ割れしてしまうので詳しく書けないが、題名がそのままトリックなのだ。何と大胆な。母親を中心とした人間描写も繊細でトリックも大胆な傑作ミステリ。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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妻に捧げる犯罪―土屋隆夫コレクション (光文社文庫)価格: 720円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 「松本清張の推理小説はたくさんありすぎて、何から読んでいいのかわからない」
と言う女性に、
「それならいっそ、土屋隆夫を読め。松本清張の代表作に相当するレベルの作品しか書いていないと言っても良いくらいだ。試しにこれを読め」
と本書を勧めたことがある。
「こんな凄い作家がいたなんて、知らなかった。」
「『危険な童話』も『影の告発』もみんな面白い」
と、感謝された。
もし、あなたが土屋作品を読んでいないなら、あなたにもお勧めする。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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天狗の面―土屋隆夫コレクション (光文社文庫)価格: 700円レビュー評価: 3.0 レビュー数:1 旧『宝石』出身の作家も次第に少なくなってきたが、作者はそのうちの数少ない一人である。すでに戦時中に脚本を発表していたとはいえ、事実上の処女長編は本作ということになる。 本書で注目すべきは、作者が随所に介入し、読者に様々な注意を与えることだろう。カーター・ディクスンが似たような試みを行っているが、作者の遊び心と探偵小説への意気込みが感じられて興味深い。土屋作品の妙味とは、抒情云々というよりも、このような探偵小説への執拗なこだわりとブラックな感性にある。本書のように犯人やトリックがすぐわかるにしても、これがあるからこそ、彼の作品は最後まで読ませるのだ。 なお、かの有名な「割り算の文学」 ...さらに詳しい情報はコチラ |
推理小説作法 (創元ライブラリ)価格: 819円レビュー評価: 4.5 レビュー数:2 本格派推理小説の作者として知られる著者が、自身の経験を中心に述べた創作の手引き書である。タイトルの通り、基本的にミステリーを念頭に置いた作りとなっているものの、それに留まらず「小説」全般の書き方について役立つ内容が多い。
個人的には第4章の創作メモに関する話題(ネタの拾い方や、それをどのように作品にまで発展させていくか)が非常に興味深かった。続く第5章の、作品のリアリティに関する部分も重要だろう。「登場人物の一人一人についてプロフィールや身体的特徴を記した一覧を作る」という方法は私自身も実践するようにしている。他にも書き出し・結びのテクニックや作品のテーマについての論考、さら ...さらに詳しい情報はコチラ |
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