レディ・ジョーカー〈下〉価格: 1,785円レビュー評価: 4.5 レビュー数:14 「マークスの山」・「照柿」・「レディ・ジョーカー」と、合田刑事3作品を並べて気づくことがあります。描く世界の種類が増えているのです。「マークスの山」では刑事。「照柿」では刑事の世界のなかの不協音が増えて描き方が徹底され、それに工場労働の世界が加わったことで描く世界が二つに増えました。「レディ・ジョーカー」では、犯罪者たち・刑事世界・企業世界にくわえ、ジャーナリズムが加わりました。つぎは政治家か?と思いきや、5重テーマではさすがに分解するのか、「新リア王」で禅との二重テーマになりました(彰之という同音の名前・母の不倫で生まれたという背景からも中上健次への意識を強く感じます。そのせいか、榮の世界 ...さらに詳しい情報はコチラ |
レディ・ジョーカー〈上〉価格: 1,785円レビュー評価: 4.5 レビュー数:27 グリコ・森永事件をベースとしたビール会社の社長誘拐事件を題材にして、社会の諸問題を重厚かつ緻密に綴った骨太の作品。元の事件当時、一般人が(不謹慎ながら)興味を持ったのは以下の点であろう。
(1) 誘拐は狂言ではないのか ? 監禁の過程で裏取引があったのではないか ? 裏社会が絡んでいるのではないか ?
(2) 犯人の狙いは本当に金だったのか ? 愉快犯ではなかったのか ?
(3) 犯人像は ?
本作で高村氏は冒頭で殆どアッサリと答えを出しておき、事件そのものより、企業と裏社会の闇の係り、社会で弱い立場にある人間の ...さらに詳しい情報はコチラ |
李欧 (講談社文庫)価格: 750円レビュー評価: 4.5 レビュー数:29 高村薫ならではの"これでもか"という人物描写・心理描写が物語に深みを、李歐の存在が物語に広がりを持たせて、一見平凡な機械工の人生が非常に壮大でロマンチック。
ただ李歐のカリスマ性に疑問が残る(致命的)のと、ラストが以外に平凡なので☆3。
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わが手に拳銃を価格: 1,890円レビュー評価: 4.5 レビュー数:6 「わが手に拳銃を」を下敷きにあらたに書き下ろしたという文庫版の「李歐」
が読みごたえがあったので、多少でも違う描写があるのならぜひ読みたいと
思って手に取りました。
題材やおおまかな流れは同じですが、ほとんど外伝だと言ってもいいくらい
ストーリーが違います。こちらの本の方が主人公の考えがはっきり書かれて
いるので分かりやすく、ラストの疾走するような展開からは目が離せません
でした。
しかし「李歐」の方が文章が美しく、洗練されています。
タイトルの通り、単行本では拳銃、文庫本では李歐に主人公が強く執 ...さらに詳しい情報はコチラ |
リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)価格: 740円レビュー評価: 4.5 レビュー数:17 読み始めは翻訳小説を読んでいるようで多少の違和感がありました。
仕事柄、中国については割りと知識があり、文革、日中国交正常化、香港返還辺りの背景は理解できるのですが、北アイルランド紛争、MI5、MI6、IRA、CIAの関係が良く分からず慣れるまで若干戸惑いが有りました。
発端である1972年から1995年までの物語が記載されています。
壮大な物語であるためか、登場人物も主人公のジャック・モーガン、その恋人のリーアン、ケリー・マッカン、その恋人のサラ・ウォーカー、イギリス人とのハーフ手島修三、リヴィエラ、ノーマ ...さらに詳しい情報はコチラ |
リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫価格: 620円レビュー評価: 5.0 レビュー数:8 高村さんの作品は勢いだけでは読めない。
他の方も書いているけれど、集中して読まないと一文一文に込められた深くて
重い意味を見落としてしまうからだ。
それだけにこの作品も読むのは疲れるけれど、読後感は素晴らしかった。
《国益》という名の下に交わされる数限りない駆け引き。
それは時に裏切りであり、時に騙しあいであり、時に人の命を奪うことですら
ある。
その命が《国益》を脅かすとして奪われるものであっても《国益》を守るため
に捧げられたものであっても、失われた後は闇から闇へ葬られる。
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マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)価格: 1,890円レビュー評価: 4.0 レビュー数:22 文体が極度に重い、固い。内容も複雑で理解しがたい。高村さんの小説は現代の日本の小説としては一、二を争うほど読みにくい。内容は私には全く面白くなかった。高村さんの本はアイディアは娯楽小説なのに文章は全く一般向けではない。難解な文章だから編集者や賞の選考者は好きなのかもしれない。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
神の火〈上〉 (新潮文庫)価格: 620円レビュー評価: 3.5 レビュー数:17 高村さんの小説はエンターテイメントなストーリーのはずなのに文章、文体、内容は極度に難解。最後まで読んでも全く面白くない。いくら資料を集めても小説として面白くなければどうしようもない。高村さんはテレビ出演していたときも話がかなり抽象的で主張がわかりにくかった。だから元からそういう人なんだと思った。文でも話でも相手に伝わらなければ意味がない。高村さんの本がたくさん出てるのを見ると、需要があるんだろうなと思う。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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マークスの山(上) 講談社文庫価格: 680円レビュー評価: 3.5 レビュー数:43 1 最近、読み始めました。以前に読んだ「半落ち」、
「砂の器」「マネーロンダリング」と似た感動
を覚えました。
2 執筆の時期の前後はわかりませんが、こころ
の問題への関心が高まっている現代的な作品だと
思いました。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
神の火〈下〉 (新潮文庫)価格: 620円レビュー評価: 4.0 レビュー数:5 上巻の質感溢れる濃密な物語から、下巻に期待したが、期待外れだった。全体構想に問題があるのではないか。
下巻の前半は主人公の感傷が延々と語られる。"良"との偽装交換劇の後の展開は、更にセンチメンタリズムの嵐である。本作の結末が原子力発電所襲撃に収斂する事は誰の目にも最初から明らかだが、それを決行する主人公と友人の心理が不透明で感情移入できない。"良"の死から、いきなりの原子力発電所襲撃は展開の飛躍が過ぎよう。襲撃シーンを慌てて最後に詰め込んだかのようである。発電所の設備や襲撃計画の描写は相変わらず精緻で、「黄金を抱いて翔べ」を思わせるが、それが却って読む者に空疎感を与 ...さらに詳しい情報はコチラ |
新リア王 上価格: 1,995円レビュー評価: 4.0 レビュー数:5 「リビエラを撃て」を最高傑作と思っているため、評価にはバイアスがかかっているかもしれない。「晴子情歌」で、日本人の生きかた、歴史を、歴史に登場しない人物の視点で描くことで、文学であるとともに、叙事詩のようでもある(本文が何と言っても手紙である)、という作者の手法は、今回の作品では、禅宗の教義、経、本山末寺制度への言及が余りにも煩雑、頻繁なこともあって、難解で、読みにくい。
青森(日本の農村、日本の土着的な部分を象徴しているのだろうか)の産業発展に人生をかけた政治家の人生が物語の軸になっている。リア王と同じように、上の息子には裏切られる。しかし、僧侶となった末の息子は ...さらに詳しい情報はコチラ |