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制服捜査価格: 1,680円レビュー評価: 4.0 レビュー数:17 駐在警官が主人公の短編集で、田舎町の闇の部分に切り込んでゆくストーリーは爽快の一言です。どの話も中盤までの地味な流れとは対照的にクライマックスの盛り上がりは目を見張るものがあり、読後感も良いです。
ただ、風景や状況の説明があっさりしているのがこの作者の特徴なのでしょうか。欲を言えば無線交信の描写はもう少し緻密に書き込んで欲しかった。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
幕臣たちと技術立国―江川英龍・中島三郎助・榎本武揚が追った夢 (集英社新書)価格: 714円レビュー評価: 3.5 レビュー数:3 視点は興味深いが、残念ながら内容に難有りと言える本である。
著者自身は、著書を学術書でないと批判に対して逃げ口上を巻末に乗せているが、そういった本である。
江川英龍、中島三郎助、榎本武揚ら三人についての評価は現在でも照らさなければならないが、評価方法が勧善懲悪に徹しすぎてかなり苦しい書き方となっている。昔夢会筆記―徳川慶喜公回想談 (東洋文庫 (76))を引用しているものの、前後をカットしており、実は慶喜の真意をリライトしている。正直、著書を読むのに勝海舟をわざと「ヒール(悪者)」に位置させており、軍政家として評価したカッテンディーケの言説を隠した書き方 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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総督と呼ばれた男〈上〉 (集英社文庫)価格: 600円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 戦前、戦中のシンガポール、マレーシアの様子がよく分かる。日本軍の中国侵攻、真珠湾攻で揺れるシンガポールの日本人社会を描く。その激動の時代に、日本人社会のボスの座をめぐり繰り広げられる争い。いまは海外生活者の多くが日本企業の駐在員だが、かつては外国で一旗揚げようと渡航した土着派日本人がほとんどだった。母国に帰るに帰れない日本人にとって、いったい戦争は何だったのかを問う作品。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
ストックホルムの密使 (下巻) (新潮文庫)価格: 620円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 すでにドイツは降伏し、必死に絶望的な抵抗を続ける日本に、極秘情報を携えてむかう二人の密使。
もはや矢尽き刀折れ、国土を焦土と化しつつも、最後まで職務を全うし続ける日本人たち。その歴史的事実にもとづく描写は我々を圧巻する。そこに見出されるテーマは、佐々木氏が一連の作品の中で問い続けている「祖国とは何か」というテーゼである。
男たちの想いが一点に集約し、ついに物語は大団円を迎え、戦争は終結する。平和な時代が続く今だからこそ、胸に訴えかけてくるものは多い。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
屈折率 (講談社文庫)価格: 940円レビュー評価: 2.5 レビュー数:2 ガラス工芸アーティストと零細ガラス工場の中年社長とのまったりとした不倫を軸にした物語であって、長い割には読んでいて退屈だった。商品に対する知識や愛情もなく経営を続ける好色な中小企業の社長を一人知っているが、その人を思い出し、個人的には極めて不快だった。 本書は佐々木譲氏の「エトロフ発緊急電」「ベルリン飛行指令」といった冒険ものとは異なる。相当コアな佐々木譲ファン以外にはあまりお薦めしない。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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警察庁から来た男価格: 1,680円レビュー評価: 5.0 レビュー数:2 警察庁からきた男、藤川警視正。彼のキャラが非常にいいです。クールで切れ者、そのキャリアがスターバックスのカフェラテにこだわったり、「退職後ってそんなに大事なのか?」と無邪気に聞いて周囲を思いっきりしらけさせたり。警察内部の不正を扱いながらも、警察だって捨てたものじゃないと信じられるそんなストーリーで、展開も早く最後まで一気に読めます。藤川警視正を囲むメンバーも個性豊かでみな絶妙の組み合わせです。ぜひ彼の今後の活躍も読みたいと思います。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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