バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)価格: 840円レビュー評価: 4.0 レビュー数:8 〈首無し屍体〉=犯人と被害者の入れ替わり、という推理に対し、
探偵小説風の臆断と一蹴する探偵役の矢吹駆。
ミステリのガジェットに対する「意味沈殿」を指弾されるのは、
マゾヒスティックな快感があります。
そして、本作のクライマックスである駆と犯人との思想対決の場面。
自己内対話の具象化ともいえるこのシーンでは、正義や理想といった
理念が、いかに倒錯していくかの過程が自己解体されていきます。
〈この世界では天使だからこそ地獄に堕ち ...さらに詳しい情報はコチラ |
オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫)価格: 860円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 謎の奇病「オイディプス症候群」の蔓延に端を発する、連続殺人事件。
それを背景に、世界的テロリズムと矢吹駆の暗闘は続く。
このシリーズにおける最大の魅力といえば、やはりなんといっても、現代思想家をモデルにした登場人物たちが、主人公と論戦をくりひろげる部分でしょう。
しかしながら、今回登場のミシェル・ダジール(フーコー)を相手に、主人公・矢吹駆が、あまり刺々した議論を戦わせることはありません。むしろダジールの助けを得て、自分探しをしているようにも見えます。
重要なのは、この『オイディプス症候群』に登場する思 ...さらに詳しい情報はコチラ |
オイディプス症候群〈上〉 (光文社文庫)価格: 820円レビュー評価: 3.0 レビュー数:1 矢吹駆を主人公とした、笠井潔の重厚なミステリシリーズの文庫最新刊です。
十年余りのブランクの後に復活したこのシリーズの新作は、いかにも「本格」のミステリ小説らしく、絶海の孤島(ギリシァのミノタウロス島というミノタウロスの伝説で有名な島)に浮かぶダイダロス館という館で起こる連続殺人事件ものです。ダイダロスといえば、ミノス王の命でミノタウロスの迷宮をつくりあげた人物であり、息子のイカロスは翼をやかれて墜落死したという神話で有名な人物です。そのダイダロスの名をもつ館は、ギリシアのスアフォキンという島から船でいかなければならない、この館しか存在しない孤島に存在し、この島に集められた人物 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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ミステリを書く! (小学館文庫)価格: 690円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 現代ミステリの最前線で活躍する作家達へのインタビュー集。各作家がどのような経緯を辿ってミステリ作家になったのか、がよくわかる良質のインタビュー集です。ミステリを書く気のない人でも充分楽しめます。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
サマー・アポカリプス (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)価格: 903円レビュー評価: 4.5 レビュー数:3
長すぎるよっ、なんですか535ページって!
半分ぐらいにして欲しかったよ正直。
まあ最後まで読むとそれなりに面白い事はあるんですが……
逆に言えばそれまでは全然詰まらないです。
淡々と、特に物語りに波もなく進行されていきます。
蘊蓄は、基本的に大好きなんですが、この作品では何で京極ばりに語ってるのかよくわかりませんでしたね。
最初の事件のトリックとか、あれでみんな納得しているのだろうか??
弓矢で確実に人を殺せるのだろうか。。。
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哲学者の密室 (創元推理文庫)価格: 1,680円レビュー評価: 4.5 レビュー数:10 殺人事件を推理するのに、哲学の一手法である「現象学的還元」を用いる矢吹駆が主人公のシリーズ第四弾、にして最高傑作。
このシリーズは言うまでも無く、「推理小説」であるとともに著者の「思想」を表現する手段でもある。今回扱うのは第二次世界大戦中ナチスと関わりがあったドイツの哲学者ハイデガーの、「死の哲学」である。
これまでの作品では、「推理小説」として楽しめる部分と「思想対決」として楽しめる部分にある程度分かれていた感じで、ストーリーと思想の関連させ方は個々の作品に巧拙の差はあったとしても、基本的には思想の部分はとってつけた感は否めなかったように思う。
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青銅の悲劇 瀕死の王価格: 2,310円レビュー評価: 2.5 レビュー数:7 皆さんがご指摘のとおり、期待して買って読むとかなり厳しかったです。全体構成の見直し、文章をもっと刈り込むなど、かったるい印象を防ぐ手立てがあったはずです。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
テロルの現象学―観念批判論序説 (ちくま学芸文庫)価格: 1,365円レビュー評価: 5.0 レビュー数:2 とにかく圧倒されました。−パリの屋根裏部屋でテロルの現象学を書き始めた頃、私は人間が生きて味わうものを、もはや底まで経験しつくした、と感じていた。と、笠井氏は書いています。゛バイバイ、エンジェル゛の中で、矢吹駆が同じようなことを言っていましたね。気取りでも独りよがりでもない、すごい言葉を吐いたものだと素直に驚きました。 古代ギリシャから原始キリスト教、中世異端派、フランス革命、モスクワ裁判、ポル・ポト、連合赤軍、ドストエフスキーやサルトル、三島はもちろんのこと、二葉亭四迷まで。 素人の私は、笠井氏が通り抜けてきた、これらありとあらゆる観念の悲劇についての徹底した考察の前に、もは ...さらに詳しい情報はコチラ |
国家民営化論―「完全自由社会」をめざすアナルコ・キャピタリズム (カッパ・サイエンス)価格: 948円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 故土光敏夫氏が昭和56年に行政改革調査会長に就任し、行政改革という考えが世の中に浸透してから、もう30年も経過した。近年の構造改革も遅々として進まない。 民営化各論の精緻化と例外救済措置の複雑な立法のプロセスをすっきり決着させるにはどうしたらよいか、国家を民営化してしまえばよいのである。それが小説家・思想家の笠井氏の本書の基本骨子である。 ホッブスの"万人の万人に対する戦い"を回避して自由競争の市場に行政にも適用するにはどうしたらよいか、その考察が本書では過激かつ根源的に語られている。真の自由競争を実現するにはスタートラインの公平性がなくしては、成り立たない。そこで著者が提唱するのが ...さらに詳しい情報はコチラ |
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