愚か者死すべし (ハヤカワ文庫 JA ハ 4-7)価格: 735円レビュー評価: 3.5 レビュー数:3 オリジナルは2004年11月リリース。前作『さらば長き眠り』からおよそ9年空いた新作である。この新作の登場には早川書房社長の早川浩の力が大きかったようだ。
読み出すと久しぶりの沢崎の言い回しが懐かしく、それだけでかなり満足できてしまう自分に気がつく。つまり原作品のキモはストーリーではなく、沢崎の独特な(人はこれをハードボイルドと呼ぶわけだが・・・)レトリックにある、ということだろう。9年以上の作品は頻繁に登場する電話のシーンも公衆電話ばかりで、それが作品を古い感じのものにしてしまっていたが、本作ではついに『携帯電話』が登場する。よかった。
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さらば長き眠り (ハヤカワ文庫JA)価格: 840円レビュー評価: 4.5 レビュー数:7 この歯切れの良い、短い文章で長編を、それもシリーズで書き続けることは確かに膨大な時間がかかる作業なのだろう。
探偵沢崎の物語に饒舌な語りは似合わないのだ。しかし、依頼人を見つけるまでに約三分の一のページ数を費やすのはどうなのだろう。それからやっと本格的に捜査を開始するのだから、本当ならもっとページ数が増えそうなものだが。結構長いのにも関わらず、余計なものをそぎ落とした小説と言える。例えば行きずりの美女とかが出てこないし。ま、読者に待たせた分ちょっとしたファンサービスのようなものはあるのだけど、そのぐらいは目をつぶって。
確かにオチはリアリティを損なってい ...さらに詳しい情報はコチラ |
ハードボイルド (ハヤカワ文庫JA)価格: 630円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 「そして夜は甦る」「私が殺した少女」などで和製ハードボイルドの境地を築いた著者のエッセイ集「ミステリオーソ」が ついに文庫版になりました。 今回の文庫版では単行本「ミステリオーソ」だけでなく、後に発表されたエッセイ・短編・対談などもまとめられ、 「ミステリオーソ」「ハードボイルド」として2分冊になりました。 「ハードボイルド」では、著者が影響を受けた作家・作品や著者の仕事としている「小説を書くこと」について、 そして、ハードボイルド作家対談として船戸与一氏との対談、あちこちで出没(?)する 小説以外の沢崎シリーズや単行本未収録短編などなど本当に盛り沢山の内容で ...さらに詳しい情報はコチラ |
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ミステリオーソ (ハヤカワ文庫JA)価格: 630円レビュー評価: 4.5 レビュー数:3 オリジナルは1995年リリース。文庫化は2004年に9年ぶりに発売された長編第4作『愚か者死すべし』にあわせて編纂発売されたようだ。僕はサイン本を手に入れた。
『ミステリオーソ』は当然ジャズ好きなピンとくるセロニアス・モンクのあのアルバムと『ミステリ』をもじって付けたタイトルなのだろう。それでいてモンクに触れた下りでは『ブリリアント・コーナー』と『モンクス・ミュージック』を薦めている。そういう一端にも現れているように全体の繋がりとかまとまりを一切考えずにとつとつと思うがままに綴られているところにむしろ惹かれた。そしてむしろ作家になる前の暗中模索の生き様により強く惹か ...さらに詳しい情報はコチラ |
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愚か者死すべし価格: 1,680円レビュー評価: 4.5 レビュー数:43 和製フィリップマーロウ沢崎。
日本の作家でレイモンドチャンドラーもどきの作品を書いている人はたくさんいるが、この作者はその世界感を継承しつつも、オリジナルティーがあり、そしてそこに生きる人々の寂しさや悲しさ、人間くささが伝わり、見事に自分の世界観を作り上げている。
それにしても沢崎は格好よすぎ。
原氏は寡作で有名だが、量産することで作品の質を落とさないようにしている姿勢にも沢崎に通じるものがあるように感じる。
次回作(いつになるだろうか?)を期待する。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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