七回死んだ男 (講談社文庫)価格: 620円レビュー評価: 4.5 レビュー数:26 推理小説を求めて手にとった作品でしたが、謎解きのカタルシスよりも作品のエンターテインメント性に目を引かれました。
おそらく序盤の「主人公が時間を跳躍してしまう」という設定説明の部分で、引っかかってしまう人は少なくないだろうと思います。
でも、それで作品の底を知った気になるのは早すぎます。
なんとか事件を食い止めようとする主人公と、次から次へと湧き出てくる事件の種。
そのいたちごっこに「まだ出てくるのか」「次はこれか」と笑ってしまいます。
出てくる要因をひとつずつ潰していって最後に残った謎とその結果に、分か ...さらに詳しい情報はコチラ |
解体諸因 (講談社文庫)価格: 730円レビュー評価: 4.0 レビュー数:8 1995年に出た単行本の文庫化。
著者のデビュー作で、かなり意欲的なつくりになっている。一方で、後年のネジの外れてしまったような奇怪さはなく、安心して(?)読める。物足りないという人もいるだろうが。
バラバラ殺人へのこだわりを貫いた点が凄い。言われてみれば、なぜバラバラにするのかという問題には尽くせぬ回答が期待される。密室とは違って(それほど)手垢の付いていない問題だし、(密室をつくるのよりも)バラバラにするという理由が合理的に考えられ得る。目の付け所が良かったと思う。
それぞれのトリックや完成度には不満も残るが、ミステリ史上に残る一冊だろう。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
人格転移の殺人 (講談社文庫)価格: 660円レビュー評価: 4.0 レビュー数:14 これでいいのだ?ってな感じの無責任な設定なんですね、うん。タイトル通り人格が転移した
者同士の中で殺人が起こっちゃってビックラ仰天なんですね、うん。
ミステリにしてはどんでん返しが弱い、パズルにしては凝りすぎ馬鹿、SFにしては神秘性に
欠ける、尚且つ人物の心理描写が気持ち悪いこの作者の魅力は何かというと云うまでもなく
その発想(=素材)な訳だが、それにしたってもっと幾通りも面白い話(過程)に仕上げれる
だろうし、じゃ結局何が好くて読むかと云うとその悟り具合っていうの?俺はわかってるんだ
ぜ!!的な小話とオチ ...さらに詳しい情報はコチラ |
スコッチ・ゲーム (角川文庫)価格: 630円レビュー評価: 4.0 レビュー数:4 1998年にカドカワ・エンタテインメントとして刊行されたものの文庫化。
匠千暁シリーズの第5作。順番に読んだ方が良い。
謎解きに関しては期待すべきではない。もうちょっとプロットを整理できなかったのだろうか? 犯人やトリックは悪くないのだが、本書のストーリー構成のなかでは納得できない。
キャラクター小説、青春小説としては楽しめると思う。決して明るくも爽快でもない青春だが。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
七つの黒い夢 (新潮文庫)価格: 420円レビュー評価: 2.5 レビュー数:14 少し期待外れに終わった。
冒頭の乙一の独特なミステリーに一気に読み進んだが、あっという間の結末。
え、この後は?これで終わり?? みたいなもやもや感が強く残る。
他の作品も同じですっきりしない終わり方。
超自然現象なのか、人間の怨念なのか、怖さの対象がばらばらで絞り込まれていない。
はっきりしない、現実とのずれと違和感がテーマのようであるが。。
前半の作品はまだ読めるが、後半になるほど、不気味さもなくなり、残念である。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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麦酒の家の冒険 (講談社文庫)価格: 650円レビュー評価: 3.5 レビュー数:6 タックたち四人が迷い込んだ山荘は、1階にベッド一台、2階の
ウォークインクローゼットのなかに冷蔵庫一台しかないという、
空き家同然の状態だった。
冷蔵庫には、ヱビスのロング缶96本と凍ったジョッキ13個――。
このような不可解な状況や遺留品は、何を意味しているのか……?
ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」を嚆矢とする
“純粋論理”型の長篇という非常にレアな作例。
“純粋論理”とは、発端となる何 ...さらに詳しい情報はコチラ |
謎亭論処―匠千暁の事件簿 (祥伝社文庫 に 5-3)価格: 690円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 ◆「閉じ込められる容疑者の問題」
娘夫婦と同居する未亡人が、完全に密室状態の自宅で殺害された。
その時、娘夫婦は家に居たが、睡眠薬を飲まされ、眠らされていたという。
未亡人と娘夫婦は折り合いが悪く、未亡人には、
男の影がちらついていたようなのだが…。
果たして、娘夫婦の犯行なのか?
アルコール片手にディスカッションで推理を
進めていく〈安楽椅子探偵〉もの。
序盤に巧妙に配された布石を、 ...さらに詳しい情報はコチラ |
異邦人―fusion (集英社文庫)価格: 540円レビュー評価: 4.0 レビュー数:3 2001年に出た単行本の文庫化。
タイムスリップものである。西澤作品らしく、奇想天外なお話でありながら、きちんとルールにのっとったミステリになっているところが凄い。
また、ラストが感動的。きっちりと謎が解かれて、しかもそれがハッピーエンド(?)へとつながっていく。なかなかのカタストロフィ。
全体としては、前半が『黄金色の祈り』、後半が『方舟は冬の国へ』に似ているような。上手いこと両作品を混ぜ合わせたような印象だった。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
依存 (幻冬舎文庫)価格: 840円レビュー評価: 4.5 レビュー数:11 単行本(2000年)→幻冬舎ノベルス(2001年)→本書。
匠千暁シリーズの一冊。かならず、前作『スコッチ・ゲーム』から順番に読まなければならない。そうしないとストーリーがまったく分からない危険がある。
推理小説というのではない。主人公たる匠千暁の過去、また登場人物たちの人間関係を描いた物語だ。シリーズをずっと読んできて、思い入れのある人には感慨深い作品だろう。私もそうで、それなりに感動したのだが、いざ振り返ってレビューしてみようと思うと、評価に困る作品でもあった。
いろいろ矛盾もあるし、ディテールのバランスが悪いような気もする。いつも繰り広げられ ...さらに詳しい情報はコチラ |
腕貫探偵、残業中価格: 1,680円レビュー評価: 3.5 レビュー数:3 前作では何となく不思議で不気味な存在だった腕貫探偵が
少しの私生活とガッツな美人女子大生のおかげで若干の
人間味を帯びてます。こんな腕貫探偵なら私も知り合いたいです。
ミステリーを読んでいるはずなのについつい食事の描写にうっとり
としてしまいいつまでもこの場面でもいい…と思ってしまったりします(笑)
とはいえ腕貫探偵はいたっていままでどおりのスタンスです。
魅力的な登場人物が増えたこともあり、次回作も楽しみです。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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