大いなる幻影・華やかな死体―江戸川乱歩賞全集〈4〉 (講談社文庫)価格: 1,250円レビュー評価: 3.0 レビュー数:2 【大いなる幻影】
さすがに今となっては古い。文章も硬く読みにくい部分がある。
プロットは最後でどんでん返しがあるなど良く練られていると思うが、
いかんせん暗い。
物語の主人公たちが古びた女子アパートに住む老女ということもあるが、
「猫は知っていた/仁木悦子」のような明るさというか、爽やかさはない。
それがこの作品の持ち味なのかも知れないが。
【華やかな死体】
作者は元検事で現役の弁護士。
出世欲に取り付かれたような検事と老獪な弁護士が殺人事件を争う。
この検事 ...さらに詳しい情報はコチラ |
透明女 (1981年) (徳間文庫)価格: 441円レビュー評価: 5.0 レビュー数:1 SFとミステリーの融合はアシモフなどが完成させていたが、SFミステリーにエロティックサスペンスを融合させた作家が日本にいた。戸川昌子だ。作品のほとんどが絶版で可哀想なくらい無視された存在だが、再評価されても不思議じゃない色彩と残り香。『透明女』『夢魔』『赤い爪痕』『わたしがふたりいる』を戸川昌子SF四部作と呼びたい。四作同時復刊を強く望む。ハルキ文庫がやってくれないかな。今の日本でそれができるのはDQNの角川春樹しかいない!たのむぞハルキ! ...さらに詳しい情報はコチラ |
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淫花伝1 「阿部定」上巻 上村一夫完全版シリーズ価格: 1,890円レビュー評価: 4.0 レビュー数:2 エロスの極みでありながら、とても洗練された描線。洗練されていながら、凡庸なエロ漫画には及びもつかないほど胸の高鳴る猥雑さ。その行きつ戻りつする振り子の中で息づく女と男の物語。 上村ファンには説明無用の様式美が、炸裂します。 中でも見開き58ページで、日傘を差し掛けながら振り返る女。なかば失神してるような、あるいは小さく叫んでるような表情。そしてその瞳は、空洞であるだけに、何を見つめ何を思うのか。言い知れぬ恐怖すら感じます。 のちの『関東平野』へとつながる系譜の作品です。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
淫花伝1 「阿部定」下巻 上村一夫完全版シリーズ価格: 1,890円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 夜空を見上げながら「きっと今時分が一番きれいなんですよ 空気が冷たくなって澄んでるから」と、定がつぶやく。 この場面を境に、定の視野からの、広々とした空間の描写は急激に減少し(背景としての描写は除く)半径数メートルの近視眼的な描写がふえてくる。 まさに閉塞感の表現であり、上巻から暗転することとなる。 閉塞した管の中をまっしぐらに突きすすんだ結末が、『極限の愛の形』と帯の惹起文にあるのだが、私は少し違う印象を持った。 極限と感じたのは、外部の人間の視点に過ぎない。 おかしな表現だが、彼女は、情夫に対しても情欲に対しても、まじめに取り組んだ結果 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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本牧お浜 (上村一夫完全版シリーズ―淫花伝)価格: 1,890円レビュー評価: 4.0 レビュー数:1 上村一夫の絵なので大抵のことは許せてしまうが、この話、所々本当のことが書いてある、という程度で8割方フィクション。
大事なことなのでしっかり書くべき。
とくにお浜が働いていたホテルの創世記の話はデタラメも良い所。
ホテルのオーナー経営者は元相撲取りで、愛人を二人抱えるヤクザな男だった。
マンガの世界は史実と全く異なる。
このシリーズの他のマンガがしっかり取材しているのに、この作品だけがウソで塗り固められている。
ストーリー自体は美しいのだが、「フィクション」としっかり書くべきだ。 ...さらに詳しい情報はコチラ |
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